2003年11月25日

スクリップス研究所

私たちはSC2003の終わった次の日にカリフォルニア州・サンディエゴにあるスクリップス研究所(The Scripps Research Institute)に向かった。共同研究のミーティングのため、David A. Caseに会いに行ったのだ。MDシミュレーションに携わっている人なら知っているだろうが、David Caseは、世界的に有名なMDプログラムAMBERの第一人者である。

スクリップス研究所

ミーティングの後、David Caseたちと一緒に、近くのイタリアンの店にランチを食べに行った。私はBLTサンドイッチを頼んだのだが、なかなか美味しかった。サンディエゴは町並みもきれいで、近くにビーチもあり、滞在するには楽しそうなところだ。機会があったら、また行ってみたい。

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SC2003

アリゾナ州・フェニックスで開催されたSC2003は、11月15日から21日までが開催期間だったのだが、一般の人々が入場できるのは18日から20日までであった。連日、多くの人たちが詰め掛けて賑わっていた。私たちのブースは会場の入り口から近いこともあってか、たくさんの方に見てもらうことができたようだ。

GRAPE Projectsのブース

私たちは理研と東大との共同研究としてGRAPE Projectsと題し、研究の成果を発表した。写真の中央に見えるスクリーンでは、MD専用計算機MDGRAPE-2を使用したリアルタイムMDシミュレーションの結果を表示していて、偏光フィルターを使った3D表示になっている。また、手前に置いてあったPHANTOMという装置によりインタラクティブに、つまり分子を構成する原子を実際に触ったり、動かしたりしながら、シミュレーションを行うこともでき、実際にそれを実演していたのだ。なかなか好評であった。

ところで、GRAPE-6開発者の牧野さんがゴードン・ベル賞を受賞しました。おめでとうございます。

SC2003 会場風景

SC2003の会場はかなり広く、さまざまなブースがひしめき合っていた。Intel、Sun、Microsoftなどの有名メーカーから、NASA、ロスアラモス研究所などのアメリカを代表する機関や研究所もあった。さすが、スーパーコンピュータの国際会議だ。あまり、時間がなくてそれほど見回ることができなかったのだが、SGIのブースで、実写のアメリカ大陸をズームアップしていって、最後には1軒の家にまで拡大していたのは面白かった。

ところで、会場での食事に限らず、フェニックスでの食事はあまり美味しくなかった。サンドイッチのパンはパサパサしているし、味付けもいまいちである。それなりの値段のするレストランはまあまあであったが、それでも、とても美味しいというわけではなかった。やっぱり、食事をするなら日本がいい。

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2003年11月18日

アリゾナ・フェニックスへ

今、アメリカ・アリゾナ州の州都フェニックスにいる。SC2003(Supercomputing Conference 2003)に参加するためだ。しかし、ここまで来るのに結構苦労した。

まず、アメリカ入国の際、空港でセキュリティチェックを受けたのだが、これがまた大変時間のかかるものだった。荷物をすべて開けられ、財布やベルトはもちろん、靴まで脱がされた。しかも、靴は再検査だ。確かにイラクの問題があるし、テロの対策は慎重にやらねばならないだろうから、仕方がないのだとは思うが、それでも、飛行機の乗り継ぎに2時間あったのに、予定していた便には間に合わず、結局、その3時間後の飛行機に変更させられたのは結構きつかった。乗り継ぎの際には3時間ぐらい余裕を見ていたほうが良さそうだ。

現地に到着して、レンタカーを借り、目的地のPhoenix Civic Plazaに向かった。展示用の機材が山のようにあったので、運ぶのも一苦労だ。取り敢えずレジストレーションだけ済まし、ホテルで休むことにした。ここまで来るまでに睡眠が2~3時間程度だったので非常に疲れた。

準備中のSC2003会場

次の日は、一日中、参加のための準備をしていた。ポスターを張り、機材のセッティングだ。力仕事も多かっただけにかなり疲れた。もともと、風邪気味だったせいもあって、すっかり体調を崩してしまったようだ。あまり、無理はしないでおこう。

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2002年08月19日

日本の研究者

先日、サミュエル・コールマン(Samuel Coleman)による『検証 なぜ日本の科学者は報われないのか』(原題 Japanese Science: From the Inside)という本を読んだ。これは、コールマンが数年に亘り、日本の研究者がどのような状況にあって、どのような立場にあるのかを詳細に調べて、それを書き記したものである。

読む前は、日本を知らない外国人が適当なことを書いているのではないかとも思ったが、読んでみてそんなことは決してないことがよくわかった。他国の研究機関について、これだけ熱心に、根気良く、詳細に調べたことには脱帽である。自ら多くの研究者にインタビューをし、それをまとめ、様々な文献からそれを裏付けている。まさに、研究者である。

私自身、研究に従事する身として、いろいろと身につまされたり、思わず頷いてしまうようなことが何度かあった。日本の研究機関の現状を改めて認識したことにより、自分達が頑張らねばと強く思わざるを得ない。

ただ、日本も徐々に科学に対してより良い方向に進んできているように思う。本当に徐々にだが。僅かずつでも前進することが大事だと思う。

検証・なぜ日本の科学者は報われないのか 文一総合出版

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2001年08月31日

TeXのススメ

さて、皆さんはTeXをご存知だろうか。数学者Donald E. Knuth教授が作成した、無料で使える組版ソフトウェアである。簡単に言えば、文書を綺麗に清書して印刷してくれるプログラムなのである。因みに、TeXは「テフ」もしくは「テック」と読む。「テフ」は大学などの教育・研究機関、「テック」は企業などでそのように読む人が多いようだ。

私が最初にTeXと出会ったのは10年ほど前である。当時、DOSエクステンダを使ってTeXを走らせていた。初めてTeXを使って印刷したとき、あまりの美しさに感動したことを覚えている。何しろ、\int\sumと書くだけで積分記号や和記号を表示することができるのだ。複雑な数式もいくつかのタグを使用するだけで簡単に書くことができる。

π/2
(式をクリックすると拡大表示)

たとえば、上記のような複雑な式でも、\[ \left(\int^\infty_0 \frac{\sin x}{\sqrt x}dx\right)^2 = \sum^\infty_{k=0}\frac{(2k)!}{2^{2k}(k!)^2}\frac{1}{2k+1} = \prod^\infty_{k=1}\frac{4k^2}{4k^2-1} = \frac{\pi}{2} \]と書けば出力できるのだ。なれないと難しいように感じるかもしれないが、タグの意味さえわかってしまえば簡単である。

私は仕事柄、論文を書くことが多いのだが、このTeXこそ、論文を書くためのソフトウェアだろう。BibTeXという文献データベースのためのツールを使えば、煩わしい文献の引用なども簡単に作ることもできる。実際、多くの学術誌でTeXのフォーマットが採用されている。

これを読んで、TeXに興味をもたれた方、ぜひ使ってみていただきたい。別に、論文作成でなくても、社内文書・報告書・レター・作文等々、活用できる場は大いにあるはずだ。

最後に、TeXの入手先を記しておく。

TeX for Win32
Windowsで使うためのTeXプログラムがすべて揃っているサイト

The publishing TeX
株式会社アスキーが開発している日本語版TeXのサイト

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2001年02月26日

進化するプレゼンテーション

最近、ノートPCを購入した。前々から欲しいと思っていたのだが、それなりに値が張るものなので、なかなか買えないでいた。今回、購入する気になった一番のきっかけが研究のプレゼンテーションなのである。以下に、順序立ててその理由を説明しよう。

現在、学会などで使われるプレゼンテーション用機器でもっともポピュラーなのがOHP(オーバーヘッド・プロジェクター)であろう。それ以前は、スライドを作成してそれを投影機で映し出すのが主流だった。このように、学会発表の場で使用するプレゼンテーション用機器は着実に移り変わってきているのである。

そして、最近ではノートPCを持ち込んでそれをそのままプロジェクターに繋げてスクリーンに映し出すやり方が増えてきている。ここのところ、私の所属する学会でもそのような機会が増え、ノートPCを持っていない私は少々肩身の狭い思いをしていたのだ。先日も同じ研究チームの人にノートPCを借りてプレゼンテーションを行った。

人に借りるぐらいであれば、思いきって購入してしまおうということで、今、手元にノートPCがある。つまり、最新のプレゼンテーション用機器を手に入れたというわけだ。

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2000年12月24日

サンタクロースと研究者

今日はクリスマス・イブである。そして、夜中にサンタクロースがクリスマスの贈り物を届けてくれる日だ。そう、私は小さな頃、サンタクロースが本当にプレゼントを持ってきてくれると信じていたときがあった。だから、クリスマス・イブの夜、煙突のない家では、玄関の鍵は閉めてはいけないと本気で考えていた。

しかし、今では、サンタクロースが自分に贈り物をしてくれるとは考えていない。そして、子供の頃に感じたほど、クリスマスに対してワクワクした気持ちは持てなくなってしまった。

サンタクロースを信じて、ワクワクすること。これは私にとって、知らないこと・わからないことに対する好奇心・期待感だった。だが、その仕組みもわかり(もしくは、わかったつもりとなり)、そのため、ワクワクすることもなくなってしまったのである。

つまり、ここで述べたいことは、私にとって知らないこと・わからないことが大変重要だということなのだ。もし、世の中のすべてのことを理解してしまったら、どんなにか、つまらないことだろう。すべてのことがわかっているなら、知らないこと・わからないことを、知って・理解しようとする研究者なんて職業は要らない。そして、研究者である私は、今、存在しなかったはずだ。とすると、そのことを教えてくれたサンタクロースは、私にとって、実在したといえるのではないか。

今日はクリスマス・イブである。きっと、夜中にサンタクロースがクリスマスの贈り物を届けてくれるに違いない。玄関の鍵は閉めておくけどね。

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