2004年06月25日

あいうえおの本

来月の7月に3歳になるうちの娘は、この頃、文字を読むことに執心している。少し前まではひらがなだけを読んでいたのだが、最近ではカタカナと一緒にアルファベットも読む。親が教えているわけではないので、多分、通っている保育園で教えてもらっているのだろう。

そこで、しばらく前に娘へ安野光雅の「あいうえおの本」を与えた。甚く気に入ったようで、しょっちゅう一緒に読んでくれとせがまれる。本の内容について少し述べると、見開きの左側に美しくかたどった木彫り調のひらがなが描かれており、右側にそのかなに関係する図柄がこれまた上品に描かれているのだ。

実を云えば、私が幼いときに読んでとても印象深く心に残った本でもあるのだ。木目の美しさは時代を超えた美しさである。悠久の時が木目を刻むわけであるから、それも尤もなのだろう。

そして今、手元に安野光雅の「ABCの本」がある。娘のために購入したのだが、アルファベットに興味を持っている今このときに渡すべきなのか、7月の誕生日に渡すべきなのか迷っている。どうするかなぁ。

Posted by Foota at 00:44 | Comments (1)

ABCの本については、結局、誕生日の今日、渡しました。喜んでもらえたようです。

Posted by: Foota at 2004年07月16日 22:35

2003年01月03日

子供の絵本

もうすぐ一歳半になる娘が絵本をよく読むようになった。もちろん、自分で文章を読むわけではなく、親に読ませ、そして、それを聞きながら挿絵を楽しむのだ。今のお気に入りはディック・ブルーナ(Dick Bruna)の「子どもがはじめてであう絵本1」(福音館書店)だ。これは4分冊になっており、毎日のように4冊の絵本を読んでくれとせがんでくる。全部読むまで納得してくれない。ブルーナの絵本は妻が購入したのだが、子供のころに一番好きな絵本であったそうだ。

ところで、ディック・ブルーナはミッフィ(Miffy)こと、うさこちゃんを描いたことで有名な絵本作家である。ミッフィはブルーナの絵本が英語圏に訳されるときに付けられた名前だ。うさこちゃんの本名はナインチェ・プラウス(Nijntje Pluis)といい、オランダ語でナインチェは「うさちゃん」、プラウスは「ふわふわ」を意味する。因みに、絵本の中では、うさこちゃんのお父さんが「ふわふわさん」、お母さんが「ふわおくさん」と訳されている。

私が子供の頃、特にお気に入りだった絵本に「チャイクロ」(ブックローン)がある。これも有名な絵本で、自然科学を扱った内容が大変興味深かった。特に印象に残っているのは、磁石の形をした巨人ガリバーを、釘の形をした小人が押さえつけようとするイラストで、釘の小人が磁石のガリバーにくっついてしまっているのだ。見ているだけで楽しめるものだった。ところで、チャイクロは書店では売られておらず、通信販売・訪問販売でないと手に入れることができない。私の親に訊いても、訪問販売で購入したとのことだった。残念ながら、私がボロボロになるまで読んでいたチャイクロは捨ててしまっていたので、近いうちに購入するつもりでいる。※

そのほかに気になっている絵本では、レオ・レオーニ(Leo Lionni)の「あおくんときいろちゃん」(至光社)がある。レオ・レオーニはアメリカで活躍した画家で、孫達のために書いた絵本が、この「あおくんときいろちゃん」なのだ。私は青と黄のシンプルな色彩に惹かれた。

他にも絵本は無数にあるが、それらがどんな絵本なのかは実際に読んでみるまでわからない。しかし、すべての絵本について読むわけにもいかない。そこで、「絵本ナビ」というウェブサイトを紹介したい。絵本ナビとは、「こどもに絵本を選ぶための情報を集めた参加型サイト」である。先に挙げた「あおくんときいろちゃん」の内容を調べるときも、ここのサイトを利用させてもらった。小さなお子さんをお持ちの方は是非利用してみてはいかがだろう。

一歳の娘を持つ私にとって、今年は「絵本の年」になりそうだ。

※ 後日、実家で私が子供の頃に読んでいたチャイクロが見つかったとの連絡を貰い、早速送ってもらった。全11巻で、中には相当傷みの激しいものもあったが、当の娘は結構喜んでいるので満足している。ボロボロになってもなお、大事に取っておいてくれた両親にも感謝したい。

Posted by Foota at 00:00 | Comments (0)

2002年12月31日

電子辞書

電子辞書を購入した。といっても、思いつきで衝動買いしたわけではなく、仕事柄、英語の文献を読んだり、論文を書いたりということが多く、分厚い辞書を引くのが大変であり、前々から欲しいと思っていたからだ。通勤時に持ち歩くのもままならない重量があるのでは、やはり対策を考えざるを得ない。

まず、電子辞書を購入するに当たって、現在、どんな機種があるのかを調べることから始めた。メーカーには、カシオ、キヤノン、セイコーインスツルメンツ、シャープ、ソニーなどがある。それぞれのメーカーで様々な電子辞書を販売している。辞書の種類も多様で、メーカーによって辞書にもいろいろと変化をつけている。最初に調べて思ったのは、どのメーカーから出ているものも、予想していたよりも小さくて軽くて薄くて、持ち運びにはまったく問題ないことだった。

では、私としてはどんな電子辞書が必要なのか。これが重要である。私は小説家ではないので、日本語の辞書は一般的なものが入っているものでよい。どのメーカーのものも広辞苑のような有名どころを押さえており、その点では問題がなさそうだ。やはり、重要なのは英語の辞書。できれば、語彙数が多いものが良いが、英文を書くときに例文などもたくさんあった方が都合がよい。そして、英英などもわかりやすいものを希望したい。最終的にカシオとセイコーの3機種にまで絞り込んだのだが、そこからちょっと迷った。できれば、実際の使用感や、入っている辞書の使い勝手も知りたいのだ。辞書については、Googleで検索して、辞書について解説しているいくつかのサイトを見つけたので、それを参考にさせてもらった。そして、電子辞書の使用感などを扱っているサイトを探してみたところ、Sekky's Website辞書関係コンテンツというページを見つけた。ここでは、電子辞書の使用感などが詳細に書かれていて、大変参考になった。電子辞書を探すならまずここを見ろ、というようなサイトであるらしい。

最終的に、セイコーのSR-T5000という機種に決まった。これは、今月発売されたばかりの新機種であり、自分の希望する内容と一致していたので、ちょうど良かった。これには、語法などに強いことで有名なジーニアス英和辞典(俗に言うG3)の上位版、ジーニアス英和大辞典(G大)が収録されており、英英では定評のあるオックスフォード現代英英辞典(OALD)の第6版が入っている。類語辞典にはコンサイスオックスフォード類語辞典(COT)を収録。日本語関係では、広辞苑・逆引き広辞苑、漢字源も入っている。これだけ入って、実売価格32,000円ならコストパフォーマンスもまあまあではないだろうか。何せG大だけで16,500円もするのだから。

まだ使い始めたばかりだが、大変便利である。こんなに便利なものなら、もっと早くに使っていればよかった。

ところで、今日は大晦日。今年最後の日である。それでは皆様、良いお年を。

Posted by Foota at 00:00 | Comments (0)

2002年07月16日

一年が経って…

今日、私の娘は一歳の誕生日を迎えた。

昨年の今日、つまり娘の生まれた日の随想録には、エクトロ・マロ作の『家なき娘(En Famille)』を紹介した。ただ、この作品は津田穣訳の旧仮名遣いで書かれていたので少々読みにくいのがやや難点であった。ところが、この一年の間に偕成社から文庫本で二宮フサ訳の『家なき娘』が出版されたのだ。やはり、良い作品は読み継がれていくものである。実は、単行本では1997年に出版はされていたのだが。

余談になるが、二宮フサはフランス文学の翻訳などで有名だ。以前に彼女の訳による『ラ・ロシュフコー箴言集』(岩波文庫)を読んだことあったが、大変上手に訳されていたのを覚えている。それもあって、『家なき娘』の訳者が二宮フサであることは嬉しかった。

本筋に戻って、偕成社の『家なき娘』の内容だが、予想に違わず良いできである。完訳版と銘打ってあるだけあって、大変丁寧に訳されている。ただ、フランス語で書かれた原書を読んだわけではないので、津田穣訳との比較になるのだが。本文に入っている注釈は大変に参考になる。挿絵は原書のものだ。最後の解説もよい。ただ、津田穣訳の方が印象に残ったと感じるのは、旧仮名遣いのために丁寧に読んだからだろうか…? まあ、読んで損はないので読んでいない方はこの機会に読まれてみてはどうだろうか。

さて、冒頭に今日が娘の誕生日であることを述べた。そこで、誕生日のプレゼントに電子メールのアドレスを贈ることにした。もっとも、本人が使うようになるのは、もう少し後になるのだろうけど。

家なき娘〈上〉 偕成社文庫

家なき娘〈下〉 偕成社文庫

ラ・ロシュフコー箴言集 岩波文庫

Posted by Foota at 00:00 | Comments (0)

2002年02月28日

指輪物語

J. R. R. トールキンの指輪物語(The Lord of the Rings)が映画化された。日本では3月2日から公開される。映画の邦題は『ロード・オブ・ザ・リング』である。

私がこの物語を最初に読んだのはもう10数年も前のことだ。3部からなっており(映画も3部作、今回はその第1部となる)、1部2冊、計6冊にもなる大作だ。今までに3回ほど読み返しただろうか。これは、ホビット族の青年フロドが主人公となり、仲間達とともに、世界を破滅させるだけの力が込められた魔王サウロンの指輪を滅びの亀裂に投げ込んで世界を救うという話である。魔法や妖精などが出てくる正統派エピックファンタジーの古典である。

確かに、ディテールもしっかりしており、トールキンの想像力には感嘆させられるが、一部、冗長なところもあり、日本ではこれが受け入れられるか少々気になっていた。しかし、映画の予告や特集を見る限り、素晴らしい内容に仕上がっているようである。アカデミー賞13部門でノミネートされているというのも、それを裏付けているだろう。

さて、あとはそれを自分の目で確かめるばかりである。

指輪物語
文庫 新版 指輪物語 全9巻セット

Posted by Foota at 00:00 | Comments (0)

2001年07月16日

家なき娘(En Famille)

以前、絶版と復刊というタイトルで随想録(2000年11月)を綴ったことがあるが、そのとき、エクトロ・マロの『家なき娘(En Famille)』が手に入らないと書いた。しかし、つい先日、手に入ったのだ。というのも、随想録でも紹介した、「復刊ドットコム」というサイトで、100票以上、票が集まり、復刊の交渉がされたところ、すぐに重版が決定したということであった。もちろん、すぐさま申し込んだのは言うまでもない。

さて、この作品は、世界名作劇場シリーズで知られるアニメーションの一つ、『ペリーヌ物語』の原作である。当時私は、小学校の低学年であった。内容を簡単に触れると、父親を亡くした娘ペリーヌが、母と一緒にパリに住む祖父のところまで旅をする。しかし、その途中で母親は病気にかかり、パリに入るところで病死してしまう。苦難と試練の連続だが、それを乗り越え、最後には祖父のもとで幸せになるという話である。概要としては、これだけであるが、12、3歳の少女が如何にして機転を利かせ、努力をし、最低の生活から、幸福を掴み取るのかを実に生き生きと描かれているのだ。この本は旧仮名遣いでかかれており、少々読みにくいのだが、そんなことは関係なしによい作品である。興味がある方はぜひ読まれることをお薦めする。

私がこの作品を特に今回挙げたのには、意味がある。そう、今日、2001年7月16日はわが娘が誕生した日なのだ。ペリーヌのように立派な娘になることを願う。

家なき娘 上―アンファミーユ岩波文庫 赤 576-1

家なき娘 下―アンファミーユ岩波文庫 赤 576-2

Posted by Foota at 00:00 | Comments (0)

2001年02月13日

アリマス、アリマセン、ソレワナンデスカ

マイケル・アルメレイダ監督のHAMLETという映画を観た。お察しの通り、これは、シェイクスピアの劇作品の一つであるハムレットをモチーフとした映画である。とは言っても、時代は現代で、巨大企業の会長でもある、主人公ハムレットの父親が、その弟に殺されたところから始まる。可笑しいまでに古典のハムレットに忠実に作られている。まあ、興味を覚えた方は、リンク先の説明でも読んで欲しい。

ところで、私自身は、特にシェイクスピアの作品が気に入っているというわけではない。もちろん、素晴らしい英語で綴られている作品ではあるが、それがきちんと理解できるほどの英語力があるわけでもないし、実際、英語で書かれたシェイクスピアの作品を読んだこともない。そして、昔の人もこの作品の邦訳には苦労したようで、以下に示すハムレットの名台詞に面白い邦訳があるのだが、皆さんはご存知だろうか。

To be, or not to be: that is the question.

これは、あの有名な「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」というハムレットの台詞である。そして、この台詞の初めての邦訳が「アリマス、アリマセン、ソレワナンデスカ」だそうだ。なんとも凄い訳である。もっとも、これはイギリス人による邦訳だそうだが。

是非一度、ハムレットが「あります、ありません、それは何ですか」と言っているのを聞きたいものだ。

Posted by Foota at 00:00 | Comments (0)

2000年11月27日

絶版と復刊

最近、手に入れたい書籍があり、ネットワーク上で情報を得ようと調べたところ、既に絶版であった。思った以上に、絶版になっている書籍は多いようだ。

ところで、ほとんどの方が『ダルタニャン物語』という作品のタイトルは聞いたことがあるだろう。『三銃士』の作者として有名なアレクサンドル・デュマの三部作である。邦訳では、講談社文庫から全11巻として出ていた。三銃士の物語はそのうちの初めの2巻、少し前に映画『仮面の男』でも有名になった鉄仮面にまつわる物語は最後の2巻の部分に当たる。で、この名作『ダルタニャン物語』も実は絶版なのである。

このように、名作と思われる書籍でも絶版になっているものがいくつもある。残念なことである。しかし、「残念」だけで終わらせないようにするための「復刊ドットコム」というサイトがあるのをご存知だろうか。このサイトでは、既に絶版になった書籍に対して復刊希望者を集め、100票以上になったら出版社に復刊を交渉しに行くというサイトだ。現時点で既に復刊が決定した書籍が7冊、交渉中の書籍が52冊ある。このような企画はなかなか嬉しい。

このように、ペーパーレスのネットワークの力を借りて、紙でできた書籍が復刊されるのはなかなか愉快だと思う。

ところで、最初に述べた、手に入れたい書籍とは『家なき娘(En Famille)』というエクトロ・マロの作品である。タイトルからすぐに連想できるように『家なき子(Sans Famille)』の作者でもある。1941年に岩波文庫から出版され、以後、第二版が1983年、第三版が2000年に出たらしい。2000年に出た第三版ですら既に手に入らないありさまだ。どなたか情報があれば教えて頂けるとありがたい。

Posted by Foota at 00:00 | Comments (0)