2001年05月11日

ヒトゲノム

少し前の話になるが、英国の科学誌Natureの無料サンプルをもらった。この無料サンプルは特別な発見や日本の科学者が深く関わった結果などが載った時に、希望者に送ってくれるものである。

今回は、ヒトゲノムが初めて解明されたことで、それについて扱った論文をヒトゲノム特別号として頂いたわけである。で、実際にその論文"Initial sequencing and analysis of the human genome"を読んでみた。これはやはり凄い論文である。

まずは、著者の人数からして違う。普通は数人、多くて十数人といったところだが、今回は1ページ全部が著者で埋まっている。ヒトゲノムの解析には多くの国々のたくさんの研究機関が関わっているのだ。因みに、私が勤務している理化学研究所・ゲノム科学総合研究センター(Genomic Sciences Center)も名を連ねている。そして、Natureに載る普通の論文に比べて分量が多い。総説並みである。それだけ内容があるのである。まあ、人間の全遺伝子情報を解明した論文である。そのぐらいの分量があっても驚くに当たらない。

ヒトゲノム計画については、私が学生の頃からなされていたものであり、その当時から、将来的には人間の遺伝情報がすべて解明されるだろうと言われてきた。そして、壮大で凄いことだと感じていたのだが、その集大成がこの論文に詰められているのである。なんて素敵なことだろう。

今後は、ポストゲノムの時代と言われている。つまり、そのゲノム情報をもとにして、生体タンパク質などの構造や機能の解明に焦点が移されてくるのである。私の行っている研究はまさにこの部分であり、大変にやる気も出てくるというものだ。

Posted by Foota at 2001年05月11日 00:00
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