2004年04月18日

慣用読みを考える

薬学部の学生だったころ、薬理学の授業で「口腔錠」なる言葉に出会った。これは、口の中の粘膜を長時間にわたり保護・修復する薬なのだが、問題なのはその読み方である。最初「こうくうじょう」と聞いたときはとても違和感を感じた。どう読んでも「こうこうじょう」だと思ったからである。実際に「口腔」の正式な読み方は「こうこう」である。ところが、医学では慣用読みで「こうくう」と云うらしいのだ。ほかにも、薬用植物学の課題で「さくよう」がある。これは「腊葉」と書き、本来の正しい読み方は「せきよう」だ。因みに、腊葉とは、圧して乾かした草花の標本のことで、簡単に云えば押し花・押し葉のことである。このように、誤った読み方がそのまま世間一般に広がると、慣用読みとして認知されてしまうことが間々ある。

よく知られている言葉では、たとえば「消耗」や「輸出」など。普通に読めば「しょうもう」、「ゆしゅつ」だろう。しかし、それらは慣用読みであり、正式な読み方はそれぞれ「しょうこう」、「しゅしゅつ」となる。正式に読んだほうが多分意味が通じなくなってしまうだろう。

このように、間違ったことでも世間一般でそれが正しいと認知されてしまえば、正しいことになってしまうのだなと思ったり。

Posted by Foota at 2004年04月18日 19:20
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