2002年07月16日

一年が経って…

今日、私の娘は一歳の誕生日を迎えた。

昨年の今日、つまり娘の生まれた日の随想録には、エクトロ・マロ作の『家なき娘(En Famille)』を紹介した。ただ、この作品は津田穣訳の旧仮名遣いで書かれていたので少々読みにくいのがやや難点であった。ところが、この一年の間に偕成社から文庫本で二宮フサ訳の『家なき娘』が出版されたのだ。やはり、良い作品は読み継がれていくものである。実は、単行本では1997年に出版はされていたのだが。

余談になるが、二宮フサはフランス文学の翻訳などで有名だ。以前に彼女の訳による『ラ・ロシュフコー箴言集』(岩波文庫)を読んだことあったが、大変上手に訳されていたのを覚えている。それもあって、『家なき娘』の訳者が二宮フサであることは嬉しかった。

本筋に戻って、偕成社の『家なき娘』の内容だが、予想に違わず良いできである。完訳版と銘打ってあるだけあって、大変丁寧に訳されている。ただ、フランス語で書かれた原書を読んだわけではないので、津田穣訳との比較になるのだが。本文に入っている注釈は大変に参考になる。挿絵は原書のものだ。最後の解説もよい。ただ、津田穣訳の方が印象に残ったと感じるのは、旧仮名遣いのために丁寧に読んだからだろうか…? まあ、読んで損はないので読んでいない方はこの機会に読まれてみてはどうだろうか。

さて、冒頭に今日が娘の誕生日であることを述べた。そこで、誕生日のプレゼントに電子メールのアドレスを贈ることにした。もっとも、本人が使うようになるのは、もう少し後になるのだろうけど。

家なき娘〈上〉 偕成社文庫

家なき娘〈下〉 偕成社文庫

ラ・ロシュフコー箴言集 岩波文庫

Posted by Foota at 00:00 | Comments (0)