さて、皆さんはTeXをご存知だろうか。数学者Donald E. Knuth教授が作成した、無料で使える組版ソフトウェアである。簡単に言えば、文書を綺麗に清書して印刷してくれるプログラムなのである。因みに、TeXは「テフ」もしくは「テック」と読む。「テフ」は大学などの教育・研究機関、「テック」は企業などでそのように読む人が多いようだ。
私が最初にTeXと出会ったのは10年ほど前である。当時、DOSエクステンダを使ってTeXを走らせていた。初めてTeXを使って印刷したとき、あまりの美しさに感動したことを覚えている。何しろ、\int
や\sum
と書くだけで積分記号や和記号を表示することができるのだ。複雑な数式もいくつかのタグを使用するだけで簡単に書くことができる。
たとえば、上記のような複雑な式でも、\[ \left(\int^\infty_0 \frac{\sin x}{\sqrt x}dx\right)^2 = \sum^\infty_{k=0}\frac{(2k)!}{2^{2k}(k!)^2}\frac{1}{2k+1} = \prod^\infty_{k=1}\frac{4k^2}{4k^2-1} = \frac{\pi}{2} \]
と書けば出力できるのだ。なれないと難しいように感じるかもしれないが、タグの意味さえわかってしまえば簡単である。
私は仕事柄、論文を書くことが多いのだが、このTeXこそ、論文を書くためのソフトウェアだろう。BibTeXという文献データベースのためのツールを使えば、煩わしい文献の引用なども簡単に作ることもできる。実際、多くの学術誌でTeXのフォーマットが採用されている。
これを読んで、TeXに興味をもたれた方、ぜひ使ってみていただきたい。別に、論文作成でなくても、社内文書・報告書・レター・作文等々、活用できる場は大いにあるはずだ。
最後に、TeXの入手先を記しておく。
TeX for Win32
Windowsで使うためのTeXプログラムがすべて揃っているサイト
The publishing TeX
株式会社アスキーが開発している日本語版TeXのサイト